イタリアの鉄道を代表する「トレニタリア」は、かつての国営鉄道「FS」を継承する鉄道会社で、実質的には「イタリア国鉄」といえる存在です。
イタリアの鉄道は他の欧州各国の鉄道に比べ、特にこの30年間での進歩は目覚しいものがあります。高速新線が続々と開通し、かつては半日がかりの移動だったローマ〜ミラノ間の最重要幹線も3時間を切る速さで移動できるようになりました。最新の高速列車シリーズ「レ・フレッチェ LE FRECCE」を利用して、ぜひイタリアの鉄道技術の高さを感じてみてください。
ここでは最新のデータに基づいた、イタリア国鉄の列車種別・カテゴリーについてご紹介します。
トレニタリアが誇る高速列車シリーズ「レ・フレッチェ LE FRECCE」の中で最上位にあたる種別がフレッチャロッサ Frecciarossa で、主に北部(トリノ・ミラノ)、中部(ボローニャ・フィレンツェ)、南部(ローマ・ナポリ)の南北を繋ぐ最重要幹線を中心に運行されています。
1993年にデビューしたETR500型電車(かつてユーロスター・イタリア ES*として運行されていた車両)が中心に運行されています。ピニンファリーナがデザインを担当した美しい姿も特徴的。ETR500は90年代後半〜00年代にかけてマイナーアップデートを行い、最高速度300キロ(現在は250キロに制限)で走行可能な、まさにトレニタリアのフラッグシップといえる車両を用いて運行されています。
2015年にはミラノ万博開催に合わせて新型車両ETR400型電車も投入され、「フレッチャロッサ1000」という愛称で運行されています。
ちなみに、フレッチャロッサとは「赤い矢」の意味で、トレニタリアの優等列車はすべてこの「〜の矢」というパターンで名前が付けられています。
2012年6月からは内装と設備が一新され、従来の2クラス制(1等・2等)から以下の4クラス制となりました。
STANDARD(スタンダード):従来の2等に相当し、配列は2-2。
PREMIUM(プレミアム):配列は2-2ながら、革張りシートで前後・幅ともに広めの設計に。
BUSINESS(ビジネス):従来の1等に相当し、配列は1-2。無料ドリンク、新聞サービスあり。
4席コンパートメント、「お静かに(Area Silenzio)」車両の設定もあります。
EXECUTIVE(エグゼクティブ):編成中1両だけ、それも1-1配列でわずか8席という優雅すぎるクラスです。駅ではラウンジの利用が可能。
車内では3G回線によるWi-Fiも利用可能ですが、SMS認証が必要です。
全席にコンセント(丸2穴・Bタイプ)があるのも旅行者にはうれしいところ。天井部分に設置されたLEDモニタで速度・停車駅案内・現在地などが案内されます。
現在、フレッチャロッサは以下の区間で運行されています。
トリノ〜ミラノ〜レッジョ・エミリア〜ボローニャ〜フィレンツェ〜ローマ〜ナポリ〜サレルノ(1日最大93便)
ヴェネツィア〜パドヴァ〜〜ボローニャ〜フィレンツェ〜ローマ〜ナポリ〜サレルノ(1日最大14便)
ヴェネツィア〜パドヴァ〜ヴェローナ〜ブレーシャ〜ミラノ(1日最大16便)
ミラノ〜レッジョ・エミリア〜ボローニャ〜リミニ〜アンコーナ〜ペスカーラ〜フォッジャ〜バーリ(1日最大4便、うちミラノ〜アンコーナが2便)
※上記運行区間は各運行便の最長運行区間で、ミラノ中央駅〜ローマ・テルミニ駅間のみなど、短縮して運行される便があります。
ローマ・テルミニ駅〜ミラノ中央駅:2時間50分(途中停車無しの便)
ミラノ中央駅〜ボローニャ:1時間2分
ボローニャ〜フィレンツェSMN駅:34分
ローマ・テルミニ駅〜ナポリ中央駅:1時間7分
トリノ・ポルタヌオーヴァ駅〜ミラノ中央駅:45分
ナポリ中央駅〜ヴェネツィア・サンタルチア駅:4時間53分
ミラノ中央駅〜ヴェネツィア・サンタルチア駅:2時間23分
ミラノ中央駅〜バーリ中央駅:6時間35分
フレッチャロッサは全列車・全座席指定が必要な列車です。料金は座席指定と乗車券がセットになった包括料金となるため、乗車区間ごとに専用のチケットが必要となります。
ユーレイルパス等の乗車券部分をカバーできるパスを持っている場合でも追加料金と座席指定が必要です。
ブオナツアーズでは、乗車日120日前から手配が可能です。
ご購入後のキャンセル・変更条件は場合によって異なりますので、その都度ご案内させていただきます。
こちらは「銀の矢」フレッチャルジェント。
フレッチャルジェントは主にローマを起点に、ヴェネツィア・ヴェローナ・ボルツァーノ・レッチェ・レッジョディカラブリアなど地方都市を結ぶ路線で運行されている高速列車です。
基本的にETR485、ETR600、ETR610の3タイプで運行され(ETR610はETR600ベースのスイス・ドイツ乗り入れに対応したモデル)、最高速度は250km/hで運転されています。
クラスは1等・2等に分かれた従来スタイルのもので、1等利用の場合は新聞・ドリンクサービスがあります。
現在、フレッチャルジェントは以下の区間で運行されています。
ローマ・テルミニ駅〜ヴェネツィア・サンタルチア駅
ローマ・テルミニ駅〜ヴェネツィア・メストレ駅〜トリエステ
ローマ・テルミニ駅〜ヴェネツィア・メストレ駅〜ウディネ
ローマ・フィウミチーノ空港駅〜ヴェネツィア・サンタルチア駅
ローマ・テルミニ駅〜ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅〜ボルツァーノ
ローマ・テルミニ駅〜ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅〜ブレーシャ
ローマ・テルミニ駅〜バーリ中央駅〜レッチェ
ローマ・テルミニ駅〜ナポリ中央駅〜レッジョ・ディ・カラブリア
フレッチャルジェントは全列車・全座席指定が必要な列車です。料金は座席指定と乗車券がセットになった包括料金となるため、乗車区間ごとに専用のチケットが必要となります。
ユーレイルパス等の乗車券部分をカバーできるパスを持っている場合でも追加料金と座席指定が必要です。
ブオナツアーズでは、乗車日120日前から手配が可能です。
ご購入後のキャンセル・変更条件は場合によって異なりますので、その都度ご案内させていただきます。
「白い矢」フレッチャビアンカは、2011年まで「ESCity」として運行されていた客車タイプの特急列車です。
フレッチャビアンカは上の2種別とは違い、高速専用線での運用はせず、速度も抑えた機関車+客車タイプの編成となっています。そのため「高速列車」の範疇には入りませんが、多くの地方都市への路線網があり、利用価値は非常に高い列車です。
2018年現在、上記の機関車+客車タイプに加え、従来フレッチャアルジェントとして運用されていたETR460とETR470、いわゆる高速列車タイプの編成もフレッチャビアンカとしての運用に入っています。
クラスは1等・2等に分かれた従来スタイルのもので、1等利用の場合は新聞・ドリンクサービスがあります。
現在、フレッチャビアンカは主に以下の区間で運行されています(一部抜粋)。
ミラノ中央駅〜ヴェネツィア・サンタルチア駅
ミラノ中央駅〜トリエステ
ミラノ中央駅〜ウディネ
トリノ・ポルタヌオーヴァ駅〜ミラノ中央駅〜アンコーナ〜ペスカーラ〜バーリ中央駅〜レッチェ〜タラント
ローマ・テルミニ駅〜チヴィタヴェッキア〜ジェノヴァ・ブリーニョレ駅
ローマ・テルミニ駅〜サレルノ〜レッジョ・ディ・カラブリア
ヴェネツィア・サンタルチア駅〜アンコーナ〜ペスカーラ〜バーリ中央駅
フレッチャビアンカは全列車・全座席指定が必要な列車です。料金は座席指定と乗車券がセットになった包括料金となるため、乗車区間ごとに専用のチケットが必要となります。
ユーレイルパス等の乗車券部分をカバーできるパスを持っている場合でも追加料金と座席指定が必要です。
ブオナツアーズでは、乗車日120日前から手配が可能です。
ご購入後のキャンセル・変更条件は場合によって異なりますので、その都度ご案内させていただきます。
日本ではめっきり減ってしまった夜行列車ですが、イタリアでもやはり年々減少はしているものの、シチリア島と本土を結ぶ長距離路線やと国際路線を中心に多くの夜行列車が運行されています。
特にローマ、ナポリとパレルモ、タオルミーナ、シラクーサ方面を結ぶ夜行列車は利用価値大。途中で通過するメッシーナ海峡には橋が無いため、車両ごとフェリーに搭載されて海を渡るという珍しい路線でもあります。
また、ヴェネツィア〜ミラノ〜パリを結ぶ夜行列車「thello」や、ヴェネツィア〜ウィーン間、ローマ〜フィレンツェ〜ミュンヘン間を結ぶユーロナイト(EuroNight/EN)といった国際夜行列車も運行されていますが、近年はLCC網の充実によって衰退の一途をたどっているので、乗るなら今のうちかもしれません。
ローマ・テルミニ駅〜ナポリ中央駅〜タオルミーナ〜シラクーサ
ローマ・テルミニ駅〜ナポリ中央駅〜チェファル〜パレルモ中央駅
ローマ・テルミニ駅〜ヴェネツィア・サンタルチア駅〜トリエステ
ローマ・テルミニ駅〜ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅〜ボルツァーノ
トリノ・ポルタヌオーヴァ駅〜ジェノヴァ〜ナポリ中央駅〜サレルノ
ミラノ中央駅〜〜ボローニャ〜バーリ中央駅〜レッチェ
ミラノ中央駅〜ジェノヴァ〜ピサ〜タオルミーナ〜シラクーサ
ミラノ中央駅〜ジェノヴァ〜ピサ〜チェファル〜パレルモ中央駅
ミラノ中央駅〜トリノ・ポルタスーザ駅〜バルセロナ(Euronight)
ヴェネツィア・サンタルチア駅〜パリ・リヨン駅(Euronight-thello)
ヴェネツィア・サンタルチア駅〜ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅〜ミュンヘン中央駅(CityNightLine)
ローマ・テルミニ駅〜フィレンツェSMN駅〜ボローニャ〜パリ・リヨン駅(Euronight-thello)
ローマ・テルミニ駅〜フィレンツェSMN駅〜ボローニャ〜ウィーン南駅(Euronight)
ローマ・テルミニ駅〜フィレンツェSMN駅〜ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅〜ミュンヘン中央駅(CityNightLine)
夜行列車には通常の座席の車両、寝台車両(Letto・1等扱い)、クシェット/簡易寝台(Cucetta・2等扱い)があり、列車によって構成が異なります。
寝台は1〜2名用コンパートメント、クシェットは4〜6名用コンパートメントで、いずれも男女別のものと混合のものがあります。
夜行列車は座席指定無しでも乗車できる列車がありますが、原則として寝台・クシェットは指定が必要です。
ユーレイルパス等の乗車券部分をカバーできるパスを持っている場合でも席種によって追加料金と座席指定が必要です。
ブオナツアーズでは、乗車日120日前から手配が可能です。
ご購入後のキャンセル・変更条件は場合によって異なりますので、その都度ご案内させていただきます。
昔に比べればサービスも使いやすさも格段に向上したイタリアの鉄道ですが、主要都市以外の地方や私鉄では英語のアナウンスや表示がなく、なんとなくすら案内が分からないということもあったりします。そういう時のために、ブオナツアーズでは鉄道を利用する際にこれだけは押さえていれば大丈夫!という鉄道旅行の用語・フレーズ集をご用意しました。
アンヌンチョ・リタールド Annuncio ritardo とは、「遅延のご案内」です。
駅のアナウンスで最も聞きたくないもののひとつですが、何度も利用しているとどうしても遭遇してしまう確率は高いです。
ただ、比較的正確にどのぐらい遅れるかはこのアナウンスで教えてくれるため、どのぐらい遅れるかが分かったら駅構内のバールに行ってもう一杯コーヒーを飲むなどして、気長に待ちましょう。
イタリア語 | 読み方 | 日本語 | イタリア語 | 読み方 | 日本語 |
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Stazione | スタツィオーネ | 駅 | Binario | ビナーリオ | 番線 |
Treno | トレーノ | 列車・電車 | Biglietto | ビリエット | 切符 |
Biglietteria | ビリエッテリア | 切符売場 | Prenotazione | プレノタツィオーネ | 予約 |
Partenza | パルテンツァ | 出発 | Arrivo | アッリーヴォ | 到着 |
Destinazione | デスティナツィオーネ | 行き先 | Settore | セットーレ | プラットホームのセクション |
Prima Classe | プリーマ・クラッセ | 1等車 | Seconda Classe | セコンダ・クラッセ | 2等車 |
Carrozza Ristorant | カロッツァ・リストランテ | 食堂車 | Mini-Bar | ミニバー | 車内販売 |
Toilette | トイレッテ | トイレ | Porta | ポルタ | 扉 |
Deposito Bagagli | デポズィト・バガーリ | 一時荷物預かり所 | Sala Attesa | サラ・アッテーザ | 待合所 |
Ritardo | リタルド | (列車の)遅れ | Sottopassagio | ソットパッサージョ | 地下道 |