アマルフィ海岸はナポリの南、ティレニア海に突き出したソレント半島の南側の海岸で、アマルフィ、ポジターノ、ラヴェッロ、ソレントといった美しい村や街が並ぶ海岸。その半島の先にはあの「青の洞窟」で有名なカプリ島が浮かんでいます。
さんさんと輝く太陽と、その光をたっぷり浴びて育ったレモンやオリーブ、そして美しい海岸線を愉しみに、夏のバカンスシーズンにじっくり時間を掛けて周ってみるのがオススメです。
この一帯は1997年にユネスコ世界遺産に登録されました。
Image source: Giuseppe Milo, size and trim modification applied. (CC BY-NC 2.0)
30キロに渡って続くアマルフィ海岸に点在する村の中でも、もっとも大きいのがアマルフィ。
世界的リゾートながら、昔から変わらぬ暮らしを続ける人々が多いのどかな雰囲気の場所。そんな今の姿からはなかなか想像しにくいですが、実はもともとは地中海全域にその名を轟かせた海洋国家アマルフィ公国の首都。それだけの国がなぜ今はこのような姿かというと、11世紀以降は衰退の一途を辿り、いくつかの戦争・略奪を経て最終的には1343年に襲われた大嵐によってほとんどが海の中に消えてしまったから。
下の映像は「WORLD-CRUISE 2010 世界一周を17分で!」の作者である永川優樹氏が撮影したアマルフィの村の様子。入り組んだ村の内部や外観を含め、アマルフィの1日をまとめた作品です。
アマルフィへのアクセスで、通年で使えるアクセス手段はバス。アマルフィ海岸を端から端まで運行するサレルノ〜アマルフィ〜ソレント間のバス(SITA社)が本数も多く利用価値大。
ナポリからソレントはヴェスヴィオ周遊鉄道、サレルノへはイタリア国鉄利用が便利です。サレルノ〜アマルフィは所要約1時間15分、ソレント〜アマルフィは所要約1時間40分。本数は少ないものの、SITA社バスでナポリ〜アマルフィ(ヴィエトリ・ポンペイ経由で所要約2時間)の運行もあります。
こちらは夏のバカンスシーズン(7月〜9月がピーク)限定ですが、メトロ・デル・マーレ(Metro del Mare)と呼ばれるフェリーがナポリ/カプリ島〜ソレント、ポジターノ、アマルフィ、サレルノの間で運行しています。
Image source: Mariano Mantel, size and trim modification applied. (CC BY-NC-SA 2.0)
ポジターノはすぐ後ろに迫る険しい山と海に挟まれた小さな村。
華やかな歴史を持つアマルフィとは違い、ここは元から小さな漁村。しかし現在ではアマルフィを凌ぐリゾート地として世界中にその名が知られています。
特に海からポジターノを眺めると、青い海と空の間にカラフルな壁の家々が重なりあうように並び立つ写真か絵本のような景色を見ることができます。村の中は細い路地が坂道になって入り組んでいて、異世界に迷いこんでしまったような感覚に。
ポジターノへのアクセスは基本的にアマルフィと同じで、バス(SITA社・通年運行)かフェリー(夏季限定)を利用することになります。アマルフィ〜ポジターノはバスで所要約40分。
アマルフィからすこし東に行った崖の上にあり、かつてワーグナーがこよなく愛した村。
中世に建てられたヴィラや庭園が並び、そのなかでもヴィラ・ルーフォロ(Villa Rufolo)の庭園にある展望台からはアマルフィ海岸の東側が一望できます。この庭園では毎年7月にワーグナー音楽祭が開催され、1年でもっとも賑わいをみせます。
11世紀に建てられたドゥオーモや、その先のおみやげ屋さんの並ぶ小道を登ったところにあるヴィラ・チンブローネ(Villa Cimbrone)もオススメスポット。
アマルフィからSITA社バスのスカーラ(Scala)行き利用で所要約30分。
アマルフィとポジターノの中間にあるコンカ・デイ・マリーニ(Conca dei Marini)の近くにある洞窟で、カプリ島の「青の洞窟」と同じように光の入り具合で水の色が変わります。こちらは青というよりは緑に近い色になるため、この名前で呼ばれています。バス道からはエレベーターで下に降りて、そこから船に乗って洞窟内をまわることができます。
アマルフィ〜ソレント間のSITA社バスで、コンカ・グロッタ・スメラルド(Conca-Grotta Smeraldo)下車すぐ。乗車時に運転手にここで下りることを一言伝えておくと安心です。
アマルフィ海岸への西の玄関口で、ソレント半島のほぼ先端にある街で、アマルフィやポジターノと並ぶ人気を誇るリゾートです。
ナポリから列車(ヴェスヴィオ周遊鉄道)で乗換なしで来られるアクセスの良さもあり、しばしば渋滞するアマルフィ海岸の村々を避けてソレント滞在を選ぶ旅行者も多くなっています。ここを拠点にアマルフィ海岸巡りをするのもオススメ。
ナポリからはヴェスヴィオ周遊鉄道で終点ソレント駅まで乗るだけ。ソレントに向かう場合は右側に座ると美しい海岸の景色を車窓から見ることができます。所要約1時間10分。すぐ目の前に浮かぶカプリ島へのフェリーは本数も多いので便利。カプリ島経由でフェリーを乗り継いでナポリへ行くことも可能です。アマルフィ海岸の道路を通ってサレルノへはバス(SITA社運行)で所要約3時間(アマルフィで乗継)。
Image source: Sofía Lens, size and trim modification applied. (CC BY-NC 2.0)
カプリ島はソレント半島の先、ナポリの南に浮かぶ島。ソレントの街からはもちろん、ナポリの街からも目視できるほどの距離にあり、外周約17キロ、ソレント半島の先に浮かぶ島で、古くから(それこそローマ時代から)リゾートアイランドとして知られています。中でもアウグストゥス帝は特にこの島がお気に入りだったとか。
この島を有名にしたスポットは言わずと知れた「青の洞窟 Grotta Azzura」で、マリーナ・グランデからモーターボートと手漕ぎボートを乗り継いで島の北西へ向かい、ボートごと洞窟に入場することができます。波や潮の関係で入場できないこともしばしばありますが、天気が良い日には洞窟内は一面の青い絵の具のような水面が広がっています。
マリーナ・グランデからケーブルカーやミニバスで上に登ったところがカプリの街で、島のホテルやレストランのほとんどがこのエリアに集中しています。島の西側のアナカプリ(Anacapri)地区はいわゆる「裏カプリ」といった趣で、青の洞窟だけが目当ての旅行者はあまり来ないので、本来のカプリ島の雰囲気を楽しむことができます。アナカプリからリフトで島のてっぺん、ソラーロ山の山頂に登ることができ、真っ青なティレニア海に浮かぶカプリ島の全景を眺めることができます。
ナポリ(べヴェレッロ港)やソレントとカプリ島のマリーナ・グランデの間を高速船とフェリーが頻繁に往復しています。どちらも早朝から夜19〜20時ごろまで運航していますが、最終便を逃すと本土側へ帰る手段が全く無いので注意が必要です。夏のバカンスシーズンは便数も増え、ナポリ・ソレント以外にもアマルフィ海岸方面への便も運航されます。
アマルフィ海岸とカプリ島のオススメホテルについては「イタリア・ホテル予約&ガイド:ナポリ」をご参照ください。